鈴木通信 樹木医の独り言3 「あっ、忘れてた。」こんなところに植えないで。 (2005/12/05号)

樹木は生長します。幹も枝も根も成長して大きくなっていきます。年輪を重ね老化もしていきます。植栽計画・施工をするときそれを忘れないでください。

1.杖は楽。
年を取ったウメの木です、根元は老化現象で腐朽して自立することができません。倒れないように支柱を取り付けました。すると杖は楽、足元もしっかりしたし「もう一花咲かせよう」とがんばって成長しました。支柱より上部は元気いっぱいに成長しています。

2.忘れてた!
サクラの幹に支柱がくい込んでいます。支柱にもたれかかってサボり始めています。支柱がくいこんだ場所より下の部分は幹が貧弱になり始めています。今ならまだ間に合います。至急支柱をはずしましょう。

3.怪奇現象?
木が手を伸ばしてガードレールをつかまえた。植えた時は茶筒ぐらいの太さのプラタナスだったはずです。幹はだんだん太くなってきます。ある日幹がガードレールに接触し始めました。杖は楽、接触している部分を少しずつ成長させてガードレールを摑みました。これでもう倒れない。根っこも少しサボれるかな。木が太ることを忘れないで。

4.ガタガタで歩けない。
根っこは力持ち。中庭のサクラの木、春は花見・夏は木陰を提供してくれて快適です。しかし足元はガタガタです、自転車は飛び跳ね、歩くとつまずきます。サクラの根は浅いところに多く成長します。さらに、下の土が固いと根は息ができないために透水性舗装のすぐ下の部分で空気と、水を求めて成長します。舗装はガタガタになってしまいました。舗装を直すために根を切らないで下さい。栄養が取れなくなって枯れてしまいます。また踏張りも利かなくなって倒れてしまうかもしれません。

5.シンボルツリー?
店の前のシンボルツリーのケヤキです。植えた時はちょうどいい大きさ、樹木は成長することを忘れないで下さい。頭がつっかえ庇にあたり、信号機を隠してしまいました。ばっさり切られて形も変わってしまいました。将来の形を考えて設計しましょう。

(2005/12/05号 鈴木 信晶 著