三浦通信 生垣のいろいろ・実が鑑賞できる生垣 (2005/11/16号)

紅葉の季節が近づいてきました。都内の紅葉の時期は例年より遅く11月下旬から12月上旬と予報されています。この時期になると実物の美しい生垣が一段と色彩を増してきます。よく見かける生垣にはサンゴジュ、ピラカンサ、ナンテン、イチイ、ナワシログミなどがあり、比較的珍しいものにウメモドキ、サンザシ、ボケ、セイヨウメギ、ヤマグワなどがあります。今回取り上げたキンカン、ヤポンノキ、シセントキワガキなどは特に珍しいものといえます。その他蔓垣ではアケビ、ムベ、ビナンカズラなどもあり、この時期になると自然と目が生垣にも向いて新しい発見があるのも楽しみのひとつです。

ナンテンの生垣
ナンテンの生垣は通常の生垣の刈込みと違い、刈込みバサミやヘッドトリマーなどを使用せずに剪定バサミや木バサミで形を整えて、生垣全体をやわらかく仕上げます。冬の期間に鮮やかな赤い実を楽しめます。

シセントキワガキの生垣
近年見かける中国原産の常緑のカキノキです。枝葉が密生し、萌芽力が強く、刈込みにも耐えるので生垣樹木と使用されています。実はピンポン玉より小さく密につくので楽しみの多い樹種といえます。

ヤポンノキの生垣
イヌツゲに近い樹種で最近生垣として見かけるようになりました。枝葉があまり密になりにくいので、刈込み回数を増やしていくことが大切です。写真の生垣は管理の行き届いていて、枝葉が密生し完璧に近い仕上がりです。紅い実が密につくととても鮮やかです。

キンカンの生垣
キンカンの木はよく見かけますが生垣となると珍しいものです。刺があり、カラタチの生垣と同様、人の進入を防ぐ目的には良い樹種です。実の収穫もできて楽しめる生垣です。

ムベの蔓垣
蔓垣は四ツ目垣やフェンスに這わせて柔らかい感じに仕上げます。常にのびた蔓を穴の空いているところに誘引しながらからませていくことに心掛けます。この管理を怠るとしまりのない生垣になってしまいます。秋には楕円形の紫がかった実をつけますが、アケビと異なり裂開しません。

(2005/11/16号 三浦 敢司 著