三浦通信 生垣のいろいろ・ちょっと変わった生垣(5) (2005/10/18号)

生垣の中には将来の姿を見越して長年手塩にかけて作り上げてきたものや、途中から形態を変えてきて、現在の姿に仕上がってきたものなどがあります。それらの中には、ここまで作られて来たことの凄さに感心させられるものもあります。特に珍しいと思えるものや出来栄えの凄さに感心させられたものなどを紹介します。

シラカシの高垣
通常、敷地の外や建物の目隠しに造られた高垣は色々ありますが、この写真の高垣は外に向かって湾曲して造られ、まるで大きな野外スクリーンのようです。下部には出入口が作られていて、ノムラモミジでカモフラージュしていてアクセントにもなっています。

イヌツゲの生垣
昔、銭湯に行くとよく壁画に富士山が描かれていましたが、その富士山がイヌツゲの刈り込みによって造られていました。山にたなびく雲や脇には入道雲でしょうか。石積みの上に据えられて作者の意図が伝わってくる作品です。

キズタの生垣
大谷石の石積みの上に長い年月をかけてキズタ1株で造り上げた逸品です。高低差の中にリズム感があり、竜が空を飛んでいるようにも見えます。

針葉樹の生垣
なんという凄い生垣があったものでしょうか。たぶんトショウ(杜松)と思われます。もちろん1本の樹から出来上がっており、樹高は1.5mほどあり枝を左右に伸ばして延長が30mを越えています。代々作り上げてきたもので、道路脇でもあり車に飛び込まれたらと心配にもなります。
ご主人に話を聞いたところ、子供の頃よりさらに延び、やむなく玄関をずらし枝の延びを止めることなく守り育てているとのことです。管理が行き届いた素晴らしい作品です。

上記写真の反対方向から見た写真です。
地上から約15cm位の所と60cm位の所に左右対称に同じ太さの枝が延び、その小枝を大事に育て、1つ1つの玉造りに仕上げ、枝先を留めることなく大事に扱っています。

(2005/10/18号 三浦 敢司 著